『傘をもたない蟻たちは』読み始めました。


『傘をもたない蟻たちは』 著者:加藤シゲアキ

今更ながら読んでいます。

読み始めたきっかけ

随分、手をつけるのが遅いなと思われる方も多いと思います。
正直に言いますと、シゲの著書を読むのは初めてです!
加藤シゲアキ先生の大ファンである方たちからすれば論外だと思います。

どうしてこんなにも時間が経ってから手を出したのか。
それはまさにタイミングですね!
ただ単にタイミングが合ったんです。

たまたまその日の気分でふらっと図書館へ行き、書庫をぷらぷら眺めてました。
カ行に来た時、そういえばシゲちゃんの本って置いてあるのかな?
そう思って探してみると、たった1冊だけ置いてありました!
それが『傘をもたない蟻たちは』だったんですね。

これはもう借りるしかない!
そう思って、そのまま貸出カードを発行し借りてきました。
勢いは大事。

そもそも単行本って高いじゃないですか。
当たり前ですけど・・・。
その分、重厚感があって買った時の満足感も大きいと思います。
でも私にはそんなにしょっちゅう買えるほど経済的余裕はないんですね。

それに読んでみたい本もたくさんあります。
読書家ではないですが、ミーハーなので話題の本や自分の好きな作家さんが出した新刊などは読んでみたくなります。

また、本を読む時間ってとても贅沢じゃないですか?
1日24時間と限られた時間の中で、その時間をどう使うかはもちろん個人の自由です。でもそこで「本を読む」という時間を創り出すのは私にとってはとても贅沢です。だからこそ、その時間に読む本にガッカリしたくないんです。ちょっと失礼な言い方ですが・・・。でも本を読み始めて、なんかあまり乗らないな?もしかしてつまらない?読み終わって、うーーん、微妙だったな。となりたくないんです!
とってもわがままですけど、自分の大切な時間を使ってそんな思いはしたくない。
だから新しい本を読む時に、とっても慎重になってしまいます。

そして、正直に話すと、シゲちゃんの書く本って面白いの?という完全な偏見があったんです。これは彼もそういう意見が出ることを重々承知で書いていますが、それでもやっぱり歌って踊るアイドルだしそんな彼が書く小説って・・・?ましてや作家志望の人が世の中にはたくさんいるのに、ちょっと知名度があるだけで簡単に出版できてしまうような状況はとても不公平じゃない?とさえ、本当何様気取りで語ってるんだって感じですけど、そう思っていたんです。

もちろん小説を書くって気持ちだけではできない、幅広い知識や語彙力、表現力が必要となる相当大変な仕事です。本業もしっかりやって、作家業もすすめる彼のことは心から尊敬しています。

ただこういう勝手な心理背景があり、今まで読んでこなかったんです。

前置きが長くなりましたが、運命的な出会い?にあやかって読んでみました。
これ以降はネタバレを含みますので注意して下さい!

僭越ながら私の完全なる主観で、自由に感想を書いていこうと思います。
正解もなく、解釈も千差万別だと思いますので、どうか温かい目で読んで頂けると嬉しいです。

素敵な装丁

そこから?って感じですけど、装丁についても触れさせて下さい。
基本は、シゲちゃんが大好きなので、もう全てを絶賛したいんですよね。

でも冷静に装丁、表紙のデザインってかなり大事じゃないですか。
それだけで売上が左右される程ですもんね。
私もCD等で言うジャケ買いをすることもありますし、逆に気になっていてもデザインが好みじゃないと買わなかったりします。私には縁がなかったんだなって。

その点この本の装丁は、どタイプです!!!
はい、すごく好きですね。
シンプルかつオシャレ。

装丁は、鈴木久美さんが担当されています。
ざっと鈴木さんが担当された装丁を見てみたのですが、良いですね!
私は鈴木さんのセンスが好きなようです。装丁を見ただけで読みたくなってしまいます。
よくよく調べてみると、加藤先生が出した本たちは全て鈴木さんが担当されているんですね。
もうチームといいますか、その信頼度が伺えます。

また装画は竹田嘉文さんです。
線のタッチが好きです。味がありますね。
あと、別の作品ですが、竹田さんの描く外国人のイラスト良いですね。

こんな素敵な方達と作品を作ったシゲちゃんは幸せ者だなと思います。

あと実際に本を手にとって初めて気が付いたのですが、「傘」「蟻」「藤」「ゲ」の遊びがまた素敵です。これは間近で見ないとわからないですね。

そして、純粋にどうして傘を差しているのに、その少年?青年は雨に打たれたいるのかという疑問が浮かびますよね。どうしてでしょう?誰かに解説してほしいです。
でも、雨に打たれているのにその青年の顔は苦悶様ではないですね。瞼を閉じて、どこか静けさを感じる、彼は何を思っているのだろう。きっと全身濡れているのに、私にはどこか温かい雨のようにも感じられるんですよね。雨に打たれているから不幸というわけでもない。そんな感じでしょうか。この余白がさらに思いを巡らせます。

裏表紙も意味深ですね~。
傘は閉じられ、雨はあがっています。青年はもういません。小さな蟻が傘のある方へ歩いています。
青年はどこへ?歩き出しているんでしょうか。

ちょっと余談ですが、目次の並びも素敵ですね。
やっぱり余白がすごく強調されていて、その余韻がなんともいえないです。

あと、先生の写真・・・なんだか、他に良い写真はなかったのかなと思ってしまったんですが、みなさんはどうですか?
アイドルのシゲを見過ぎているんですかね?

2018年6月15日に発売された文庫本の装丁も鈴木久美さんが担当されているんですね。こちらは単行本とガラリと印象が変わって、差し込む光がとても綺麗です。この装丁に影響されて、最初のトップ画像を選びました。

シゲの文章にふれて

率直な感想ですが、文章のところどころで独特な違和感を感じました。
良い悪いではなく、きっと私の中にある言葉とシゲの選ぶ言葉には噛み合わない部分があるんですね。ここにこの言葉を当てはめるんだ、と思うことが何度もありました。他の作家さんではそう感じることはなかったんですけど、シゲの場合はちょっと前にさらっと読んだ『ミアキス・シンフォニー』でも感じたんです。

この違和感うまく説明できないんですけど、例えば「この問題は難しい」と「この問題は困難だ」はどちらも意味は同じだと思います。でも音としてサウンドを聞いた時や、視覚的に活字を捉えた時の受ける印象が少し違ってくると思うんです。そういった微妙なニュアンスですが、シゲの言葉選びってとても面白いなと思いました。

小説としては、やっぱりシゲちゃん癖が強いな~って感じですね。
サクサク読めるんですけど、内容としてはすとんと落ちない、読み終わったあとじっくり考えてしまうような、深い小説ですね。これが余韻を楽しむということ・・・?
でも個人的に、読書後の余韻の楽しみ方はもっと明るく穏やかな気持ちで過ごすイメージなんです。この場合は、自分の中で疑問が沢山ありすぎて、どういうことだろう?と考え悶々としてしまうんですよね。私の嗜好に偏りがあるからかもしれません。なんというか、村上春樹や太宰治の作品を読んだ後のような感じです。

あと、何度でも思いますが、加藤シゲアキの頭の中は一体どうなっているんだ?この一点です。そして、彼はどんな風に時間を使っているのか、まさかタイムリープしてる!?そうとしか思えないですよね。とても忙しいスケジュールだろうに、あれだけたくさんの趣味を持ち、インプットアウトプットの量が凄まじい。同じ人間とは思えないです。生きてる時間軸が違うのかな。本当に博識で聡明ですよね。

ファンであるがゆえにとても甘いとは思いますが、それだけ彼は魅力に溢れていて私達の心を掴んで離さないんですよね。だからこそずっと応援し続けたいです。


本当は一つの記事にまとめようと思ったんですけど、思いのほか長くなってしまったので分けて書こうと思います。
今後は不定期でゆっくり更新していきます。


傘をもたない蟻たちは

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